凱旋門賞を見よう2021

こんにちは!南極です。今日は記念すべき100回目の「凱旋門賞」が開催されます。日本調教馬も参戦する本レースをぜひともご覧いただきたく、この記事を書いています。

今年の凱旋門賞をより楽しめるよう、注目馬について書いていく記事です。よろしくお願いいたします。

クロノジェネシス

日本から参戦するクロノジェネシスは実績が豊富です。宝塚記念有馬記念を含むG1を4勝。さらに今春遠征したドバイでも2着(ドバイシーマクラシック)と、現役では最強クラスと言っていい牝馬です。また通算15戦で8-3-3-1と、3着内に入れなかったのは1戦のみ(2019年エリザベス女王杯)という安定感も魅力です。

クロノジェネシスについて特筆すべきなのは、いわゆる「道悪巧者」であることです。稍重以下の、馬場が悪いレースで4戦4勝。特に稍重での開催となった2020年の宝塚記念は、2着に6馬身差をつける圧勝でした。欧州の馬場は日本のそれと比べて重いと言われており道悪適性のある馬が向いているのではないか、とかねてから予想されてきました。しかし十分な実力があってなおかつ道悪も得意、という馬はさほど多くありません。また馬場適性や実力が伴っていても、海外遠征に対応できる精神的な強さ、ケガなくレースに向かえる運など様々な要因が満たされて初めて参戦が叶うものです。今回もラブが直前の熱発で回避しています。

クロノジェネシスは、そのような考えられる要因全てをクリアしてロンシャンにたどり着くことが出来ました。日本国内では最も凱旋門賞向きな馬が、本当に凱旋門賞に参戦できるという数少ない年になる、と考えていいと思います。

ディープボンド

日本から参戦のもう一頭がディープボンドです。遠征前の主な勝ち鞍は阪神大賞典(G2)。天皇賞春2着の実績もあり、長距離向きの馬だと思われていたところの凱旋門賞参戦決定には少し驚きました。しかしそんな疑問符付きの評価は一変することになります。

先月12日に行われたフランスG2フォワ賞凱旋門賞と全く同じ条件で、凱旋門賞の前哨戦の1つである本レースにディープボンドが参戦しました。欧州の競馬ファンもディープボンドへの評価は高くなく、7頭立ての5番人気にとどまりました。しかしレースが始まると、好スタートを決めたディープボンドは先頭に立ち、そのまま後続を抑えて逃げ切り勝ちを果たしたのです。

フォワ賞は日本馬の参戦も少なくないのですが、勝利したのはディープボンドが3頭目でした。彼の前に本レースを勝っていたのはエルコンドルパサーオルフェーヴル。この2頭は本番の凱旋門賞で2着に入っています。このデータは吉兆として、ディープボンドへの期待を大きく高めることになりました。

日本馬が凱旋門賞に参戦する際には海外レースに馬を慣れさせたり、欧州の馬場への適性を確かめるために前哨戦を使うのが望ましいとされています。実際には直行する例も少なくない(クロノジェネシスも直行)ですが、直行した馬はあまり良い成績を残していないということもあり、やはり前哨戦は重要視されています。そんな前哨戦のフォワ賞におけるディープボンドの好走は、日本の競馬ファンに大きな期待を抱かせています。

スノーフォール

続いては海外馬の紹介です。スノーフォールは日本で生まれ、アイルランドで調教を受けて欧州のレースを走っています。父は「日本近代競馬の結晶」ディープインパクトいずれもG1のイギリスオークスアイルランドオークスヨークシャーオークスと転戦して3連勝の成績を残し、ロンシャンにやってきました。

前走のヴェルメイユ賞ではティオナに敗れましたが、調教師は馬場などの問題ではないとコメントし、本番の凱旋門賞では実力を発揮できるという見立てです。

凱旋門賞斤量の関係で3歳の牝馬が最も有利だとされています。今年の凱旋門賞に3歳の牝馬はただ一頭、スノーフォールだけです。ディープインパクトが世界の大種牡馬となるか、スノーフォールに期待が高まります。

アダイヤー&ハリケーンレーン

3歳牡馬が多く出走する今年の凱旋門賞ですが、特に注目すべき2頭をご紹介します。2頭とも父はフランケル。馬主はゴドルフィン、調教師がアップルビー氏であるところまで一緒です。いわゆる2頭出しと言われるやつです。

アダイヤーはイギリスのダービー馬で、前走のキングジョージを勝っての参戦となります。ハリケーンレーンはアイルランドのダービー馬。パリ大賞セントレジャーも制してG1を3連勝して臨みます。

ハリケーンレーンのパリ大賞は重馬場での勝利で、そのパワーは折り紙付きと言っていいでしょう。アダイヤーに騎乗するのは押しも押されぬ名ジョッキーのウイリアムビュイック。陣営の期待がうかがえます。2頭とも好勝負ができる実力を持っていると言えます。

ブルーム

5歳の牡馬です。主な勝ち鞍は今年のサンクルー大賞ですが、実績は欧州の他馬と比べると少し寂しいところがあります。

この馬が注目されるのは、日本のトップジョッキーである武豊騎手が騎乗するためです。数年前から、日本でも競走馬を所有する(株)キーファーズの松島氏が海外でも共同所有という形で何頭か馬を持ち、その中から凱旋門賞に出走させて武豊騎手に乗ってもらう、というプロジェクトが進んでいます。

今年はブルームがその大役を任されることとなりました。日本人騎手が凱旋門賞を勝った例はもちろんなく、武豊騎手が初の偉業に挑むこととなります。

 

他にも前哨戦ニエル賞を勝ったバブルギフトや、昨年のBCターフの勝ち馬でアイリッシュチャンピオンS2着からの参戦となるタルナワなどがいます。今年は有力馬の回避・引退が相次いだことで混戦が予想されており、出走する全頭にチャンスがあると言えます。また降り続いた雨の影響でロンシャン競馬場は重馬場となっており、特殊な馬場状態に対応できるかどうかもポイントになりそうです。

凱旋門賞は日本時間の23時5分に発走となります。地上波ではフジテレビ系列で、BSではグリーンチャンネルで生中継が予定されています。新たな歴史が刻まれる2分半を皆さんもぜひ見届けましょう!

 

おしまい