ウマ娘のゲームに何を求めるか?

 こんにちは、南極です。(どうせ身内しか見ないと思うからアレだけど)ブログの方ではお久しぶりです。

今回のブログは、2月24日のリリースまであと数日となった「ゲーム ウマ娘 プリティーダービー」について、

・こんなゲームになるんじゃない?

・こんなゲームだったらいいな~

みたいなことを書くやつです。よろしくお願いいたします。

 

 

ウマ娘ってなに?

いないと信じていますが、ウマ娘のことを全く知らん!という赤ちゃんが万が一にもいたら困るので、軽く説明をしたいと思います。

 

umamusume.jp

ウマ娘」。彼女たちは、走るために生まれてきた。

ときに数奇で、ときに輝かしい歴史を持つ別世界の名前と

共に生まれ、その魂を受け継いで走る――。

それが、彼女たちの運命。

 

この世界に生きるウマ娘の未来のレース結果は、

まだ誰にもわからない。

彼女たちは走り続ける。

瞳の先にあるゴールだけを目指して――。

 早い話、実在する競走馬の擬人化です。多彩な名馬たちが時代を越えて集結し、美少女になった「ウマ娘」の世界で競い合おう、というのが基本のコンセプトになっています。発表当初はサイゲームスの新IPとして注目されましたが、よくある萌え萌えコンテンツの一つとして捉えられ、あまり期待はされていなかった印象でした。しかし2018年春に放送されたアニメが大ヒット。美少女アニメの良さを生かしつつスポ根要素を取り入れたストーリーが高い評価を受けました。現実世界の競走馬や競馬界にまつわる小ネタを丹念に拾いあげる細やかさが評価され、オタクのみならず競馬ファンにも概ね好意的に受け止められています。かつてはあの武豊騎手がCMに登場していたことからも、競馬サークルとの良好な関係を察していただけると思います。

 

www.youtube.com 武豊が出てたCM。2年以上前だった

ディープインパクトは出ません。アーモンドアイも(たぶん)出ません。理由は長くなるので割愛

どんなゲームなの?

まずはこちらの動画をご覧ください(要点は下にまとめるので別に見なくてもいいですが、かなり美麗なレースシーンなどあるので見てほしい。動画2本で3分くらいなのでぜひ)

www.youtube.com

www.youtube.com

(2本目の0:03あたり、「馬」の字が少し違うのにお気づきでしょうか。ウマ娘は2本脚で走るので、点が2つになっているんです。細やかでしょ?)

ゲームシステムがある程度推測できますね。

・育成はパワプロシャニマスに近い

・レースに関与できるのはスキル発動時くらい

・ウイニングライブがある(これいる?

・次の育成時にウマ娘の初期値が上がる?「継承」システム

そんなに目新しさはないですが、継承は面白そうですね。とことん凝る人は凝るでしょうし、おまかせもできるみたいなので興味のないプレイヤーの負担にもならなさそうです。

 

次の項からはウマ娘のゲームに対する私見を述べたいと思います。

 

ウマ娘は競馬ゲームにはなれない

当たり前といえば当たり前なのですが、それでも強調しておきたい点です。競馬ゲームは数多くありますが、概ね「競走馬を所有し、レースに出走させる馬主シミュレーションゲーム」と定義できるでしょう。私の考えでは、競馬ゲームは主に3つの要素で構成されています。

一つ目は育成。これはウマ娘でもゲーム性の核となっており、おそらく競馬ゲームと同等かそれ以上に力を入れてくるであろうパートです。もちろん競馬ゲームには友情トレーニングはないですが、他の馬と競いながら勝負根性などを鍛える「併せ馬」と呼ばれるトレーニングがあります。いずれにせよ些細な違いでしかありませんし、むしろステータスをA、B、C、Dといったランクで表すことが多い競馬ゲームよりも、具体的な数値で表されるウマ娘のほうが育成しやすいかもしれません。

二つ目はレース。これもウマ娘と競馬ゲームで差の出ない部分です。ウマ娘では実在レースの一部が収録されなかったり、アニメ版で登場した架空のレースである「ドリームトロフィー」などが実装される可能性はありますが、ゲームの根幹にかかわるものではないといえるでしょう。

問題は三つ目の繁殖。「どの父馬とどの母馬を交配させて、○○の特徴を持つ仔馬を産ませよう」というのが繁殖の基本ですが、そもそもオスが存在しないウマ娘の世界においては、繁殖という概念が存在しません。私は当初、繁殖にあたるシステムは一切実装されないと考えていたので、前述の継承システムが発表されたときは「その手があったか」とひざを打ちました。

しかし、継承は繁殖の一部分をカバーするのが精一杯のシステムだと考えています。競馬ゲームには数百種類にも及ぶ種牡馬(馬のお父さん)が収録されるのが一般的ですが、これは種牡馬によって全く適性が違うことを表しています。体型にはじまり、スピードやスタミナ、賢さ、大人しいか荒っぽいかといった気性など多種多様な要素が親から子に受け継がれることが前提となるので、理想の馬を作るためには種牡馬の厳選が必須ともいえます。だから膨大な数の種牡馬が存在することになるのです。

また血統の要素も見落とせません。説明が難しいのですが(私自身もよく理解してない)、血統には相性の良し悪しが存在します。また馬に特徴があるのと同じように、スピードに勝る血統や、スタミナの強い血統、大人しい子が生まれる血統など、血統にも特徴があります。多種多様な血統の掛け合わせによって、父馬も母馬も未勝利で無名にもかかわらず、その子どもはめちゃくちゃ強い、という現象が起こったりします。これが繁殖の醍醐味となっているのです。

翻ってウマ娘に登場するのは、わずか69人のウマ娘のみ。この中から父と母(便宜上このように表現せざるをえないのですが)を選ばなくてはなりません。もちろん「スピード能力が高いスペシャルウィーク」や「スタミナのあるスペシャルウィーク」などを作って、同一名のウマ娘に異なる特徴を持たせることによって、疑似的に多くの種牡馬や繫殖牝馬を作り出すことは可能かもしれません。しかし「スペシャルウィークの血統」は一種類しかないのですから、どうやっても血統的な広がりをウマ娘の世界では再現できません。またスペシャルウィークの子(?)とスペシャルウィークが継承を行う、という近親にもほどがあるだろと言いたくなるような状況も発生しそうですね。

 このように、繁殖を再現できないことからウマ娘は競馬ゲームにはなれない、というのが私の主張の大きなポイントです。

 

 

競馬ゲームになれないなら

美少女コンテンツとしてゲームになることの強みを生かしてほしい。具体的にはコミュ部分の作りこみを重視してほしいと思っています。これには主に2つの理由があります。

1つは、コミュに力を入れることが実在馬に対するリスペクトになると思うから。有名馬の名前がずらりと並ぶこのコンテンツには、その馬のファンたちの目線が嫌でも集まります。それが分かっているから、運営もなるべくその馬のエピソードや史実での走りを取り入れるようにしていると思うのですが、限界もあります。

たとえばサイレンススズカは、その名前から連想されるようにおとなしい性格だ、ということにウマ娘の世界ではなっています。しかし、実際には牡馬らしく荒っぽい性格の馬だったとされており、ウマ娘の設定とは隔たりがあります。そうであるならば、設定の差をコミュの中で補完することが望ましいのではないでしょうか。ウマ娘の世界で大人しい性格に収まるような出来事があった、と描写すれば、現実の馬を無視したわけではないと示すことができるでしょう。

上に示したのはあくまで一例にすぎませんが、競馬という競技をコンテンツに昇華させるためには、そぎ落とされる部分がどうしても出てきます。ある程度のデフォルメはむしろ必要ですらあります。しかし一方で、細かいところをコミュで補うことも忘れないでほしい、と願うところです。

設定に関して付け加えるならば、現実世界のエピソードをそのままウマ娘の世界に輸入したものであっても、その設定にウマ娘なりの説得力を持たせたい、という事情もあります。

アグネスデジタルというキャラクターがいます。この馬の現実世界での実績はとても個性的なものでした。4~5歳にかけてマイルチャンピオンシップ南部杯天皇賞(秋)香港カップフェブラリーステークスという4つのレースに挑み4連勝を飾るのですが、これらのレースは全てG1(最も格が高く、勝つのが難しいレース)でした。しかもレースの施行条件もバラエティに富んでおり、前述の4レースは盛岡ダート1600m・東京芝2000m・シャティン芝2000m・東京ダート1600m(地名は競馬場所在地)。芝でもダートでも関係なく走り、田舎に行っても海外に行っても走るタフネスを持ち合わせていました。芝とダートの両方を勝つことすら難しいのに、大偉業をやってのけたアグネスデジタルについたあだ名は「変態」。実にコンテンツ力の高い馬でした。

さて、ウマ娘アグネスデジタルも、もちろん芝やダートを気にしないウマ娘として設定されています。では、彼女はなぜそのようなウマ娘になったのか。キャラクター説明には次のようにあります。

あらゆるウマ娘を近くで拝みたい一心で、芝ダート問わぬ万能な走力を見せつける。

ウマ娘アグネスデジタルが芝とダートを両方走れるのは、明らかに現実世界の実績を輸入して設定されたものです。しかし、それは現実世界の競馬の歴史を知っており、ウマ娘をメタ的に観測できる我々だから分かることです。ウマ娘の世界と現実世界は完全な別世界として考えられており、ウマ娘の世界の住人が現実世界の馬の実績を確認する方法はありません。つまりウマ娘の設定を説明するのに、「現実世界でそうだったから」というのは(少なくとも表向きは)通用しないことになります。したがって、ウマ娘の設定については、ウマ娘なりの理由が必要だと考えます。その意味で、アグネスデジタルの場合はとても良い理由が出てきたと思います。もちろん全ての設定に説明を入れるべきだとは思いませんが、そのキャラクターの根幹をなす特徴にはそれなりの理由もあってほしいものです。というか競馬を知らない人でもウマ娘を触ると想定すれば、そういう人でも納得するような理由を用意するはずですけどね。

もう一つの理由は、競走馬を擬人化したというコンテンツの特徴から言って、キャラクターの性格や考え方を表現することは必須だと思うからです。 

馬とウマ娘では様々な違いがありますが、一番大きな違いは感情や思考があることだと考えています。ウマ娘の内的なものにも注目し、心身のコンディションを整えることが期待されているのは、PVを見ても分かる通りです。また、レースの結果によって生じる喜怒哀楽をウマ娘と分かち合うのはトレーナーの醍醐味ともいえましょう。

上に書いたのは一般的な話ですが、個々のウマ娘を見ると心情描写に期待したくなるエピソードがたくさんあります。

現実世界では113戦0勝で現役を引退し、ウマ娘になっても連戦連敗、才能はないと断言されているキャラクターであるハルウララは、レースに出るということや勝つということをどのように考えているのか。モチベーションはどこからくるのか。そして、もしレースを勝ったとき、彼女はどのような顔をするのでしょう。

圧倒的なスピードで逃げて、ラストスパートで突き放す強さを見せたサイレンススズカは、現実では天皇賞(秋)でけがをしてそのまま亡くなってしまいました。もしウマ娘サイレンススズカ天皇賞(秋)を勝ったなら、その時特別な感情がわいてくるのでしょうか。馬の魂を受け継ぐということが何を意味するのか、ぜひ彼女を通して知りたいと思います。

ウマ娘サイゲームス肝いりのコンテンツとして発表され、アニメの大ヒットなど華々しい経歴を持っています。しかし、キャラクター説明とキャラソン以外の情報がなく、全く掘り下げられていないウマ娘も数多く存在します。キャラソンすらないウマ娘もいます。全てのウマ娘に愛着が持てるように、丁寧なコミュを書いてほしいと思います。コミュがゲームの人気を下支えするはずです。

 

育成シナリオはなんぼあってもいいですからね

育成システムが似ているゲームとして、パワプロシャニマスを挙げました。私はシャニマスに加えて、ソシャゲのパワプロや、パワプロのサッカー版であるパワサカをプレイしており、この項ではそれらのゲームを比較しながら育成シナリオについて考えたいと思います。

育成シナリオにおける、パワプロやパワサカとシャニマスの違いとして注目したいのは、シナリオ数の違いです。各ゲームのリリースからの年月と、育成シナリオの数は次の通りです。

パワプロ:6年2カ月で28シナリオ

・パワサカ:4年2カ月で17シナリオ

シャニマス:2年10カ月で3シナリオ

パワプロやパワサカが約3カ月に1回のペースで新シナリオを実装しているのに対して、シャニマスが1年に1回のペースであることが分かります。なぜこのような差が生まれるのでしょうか。その要因の一つは、様々な特徴を持つキャラを育成しなくてはならない、というパワプロやパワサカのゲーム性にあると考えます。

パワプロは投手と野手で別個のステータスを持ちます。投手能力と野手能力を両方のばそうとすると器用貧乏な選手に終わってしまうので、事前に育てたいポジションを決めておいて、投手なら投手能力を伸ばし野手なら野手能力を伸ばす、という育成が主流です。パワサカも同様に、ポジションごとに求められる能力に違いがあるので、ポジションごとに育成するのが基本となっています。

するとAシナリオは投手育成向き、Bシナリオは野手育成向きというように、複数のシナリオがそれぞれ意味をもつことになります。このシステムによって、新シナリオを実装してもインフレが起きるのを遅くすることができます。

シャニマスではステータスに違いはあれど、一つの育成シナリオであらゆるタイプのアイドルを育成できます。新シナリオの実装がそのままインフレにつながるので、新シナリオには慎重になっていると考えられます。

ウマ娘の場合はどうでしょうか。個人的には、パワプロのようにコンスタントに新シナリオを実装してほしいと考えています。理由は主に2つです。

 1つは話題性の問題。キャラクター数も多く、ガチャのピックアップで好きなキャラが頻繁に登場するわけではないと考えられる以上、プレイヤーがウマ娘に対するモチベーションを維持するのは簡単ではありません。また特段珍しいゲームシステムでもないため、ゲーム自体に関心を集めつづけるのも難しいでしょう。新シナリオの実装という話題を定期的に供給することが、アクティブを減らさないために効果を発揮するのではないかと思います。

もう1つは、ウマ娘パワプロやパワサカのように様々なタイプの選手を育成する必要がある、と推測されるからです。前述したアグネスデジタルのような化け物を除き、ほとんどの馬には芝とダートのいずれかの方が走りやすい、という適性があります。また、人間が短距離走者とマラソンランナーでは異なるように、馬も走る距離によって得意不得意があり、これを距離適性と呼びます。ウマ娘の世界では、距離適性は短距離・マイル・中距離・長距離の4種に分類されることがウマ娘公式ツイッターの投稿からわかっています。

馬がそうであるように、「ダート短距離のウマ娘」と「芝長距離のウマ娘」では、求められる能力が違うと予想できます。PVP要素であるチーム同士の対戦では、距離の違う複数のレースで勝負することが示唆されており、そこで勝つには様々なタイプのウマ娘が必要になるでしょう。育てたいウマ娘のタイプによって、複数のシナリオを使い分けるシステムにすることで、ゲーム性がより向上するのではないかと考えています。

 

まとめ

 長たらしく書いてきましたが、まとめると次のような感じです

・レース映像をはじめとして、ビジュアルはすごく綺麗に仕上がっている。ただゲームのシステム自体はそんなに珍しいものでもない

ウマ娘は競馬ゲームじゃない

・レースの勝ち負けはもちろん大事だけど、本物の馬とは違い感情があって話すことができるウマ娘との交流を通して絆を深め、彼女たちの喜びや悲しみを分かち合うことのできるゲームであってほしい

・育成シナリオは数を用意する方がいいと思う(運営の考え方もあるしわからんけど)

僕はウマ娘のゲームにめちゃくちゃ期待してます。競走馬の擬人化というテーマがウケるのはアニメで証明済みだし、時間をかけて作りこまれていてクオリティがとても高いし、ゲームシステムも変じゃなさそうです。これで面白くならないわけがないんです。ぜひ皆さんプレイしましょう。

少しでもやってみたいと思ったそこのあなた!まだ事前登録間に合います!ウマ娘公式ツイッターをフォローするだけ!!リンク貼っときます

twitter.com

よろしくお願いします。本当に。

 

おしまい